花咲き鳥遊ぶ アンティークマイセンと日本画の世界

財団法人化にあたってのごあいさつ

2006年8月より開館してまいりました当館は、2007年5月10日付で、財団法人として正式に認可されました。

当館は、理事長夫妻が長い年月をかけて蒐集してまいりました、上村淳之画伯の名画と、ドイツはマイセン窯の華麗な磁器作品の数々を展示しております。これらの蒐集品は長年個人宅にて大切に収蔵されておりましたが、より多くの皆様と美という財産を共有いたしたく、昨年より広く一般に公開させていただいております。このたび、その信念と姿勢とが認められ、財団法人として運営することとなりました。これもひとえに皆様の暖かいご支援の賜物と深く感謝し御礼申し上げます。

これを機に、財団法人としての社会的責任を自覚いたし、皆様のご期待に添うよう、職員一同いっそうの努力をいたす所存でございます。今後ともご愛顧のほどを、どうぞよろしくお願いいたします。

2007年6月

京都花鳥館

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花鳥館の開館によせて

このたび京都洛西松室の美しい環境の一角に開設された京都花鳥館は、ヨーロッパ随一の名窯として世界的に著名なドイツ・マイセン窯の磁器と、京都画壇の花鳥画の第一人者である芸術院会員、上村淳之画伯の日本画を展示する、まことにユニークな花鳥館です。マイセン窯の磁器と上村画伯の日本画とは、一見異質なようですが、花と鳥という題材、作品全体の優雅な美感、繊細な情趣の表現など、さまざまな面でたがいに響き合うところがあり、そこに理事長夫妻の豊かな美意識がつらぬいています。そして、そのことによってこの京都花鳥館は、日本と西欧の相異を越えて、両方の芸術を結びつけた他に類のない特色ある世界をつくり上げているのです。

数あるやきものの中でも、高温で焼いた硬質の白磁、あるいは白磁に美しい色彩で絵や文様を描いた色絵磁器は、もっとも魅力あるものですが、ヨーロッパでは中国や日本よりはずっとおくれて、ようやく十八世紀のはじめにヨハン・フリードリッヒ・べトガーによって、マイセンでつくり出されました。その後、この窯場はヨハン・ヨアヒム・ケンドラーをはじめとする多くのすぐれた彫刻家や絵付画家の努力によって、さまざまなすぐれた装飾品や実用の器物をうみ出し、その伝統は今日に至るまでずっと続いています。なかでも理事長夫妻は人物像よりもスノーボールという小さな白い花が密集している装飾的な壷やポット、そして、鳥を中心とした動物の作品を集中して 蒐められました。とりわけスノーボールに鳥を組み合わせた蓋付壷には秀作が多く、現在、これだけまとまったスノーボールのコレクションは、他に例がないでしょう。その他、花や鳥を描いた絵付皿やポットやカップも多数蒐集されています。

一方、花や鳥を主題としたいわゆる花鳥画は、桃山時代以降盛んに描かれ、とりわけ京都はその中心地でした。上村画伯はその伝統をもっともよく受け継いでいる画家で、自宅の庭におびただしい多くの鳥を飼育して、絶えずその生態を観察し、写生しておられます。しかし、そうかといって上村画伯の作品は、たんなる表面的な描写に終るものではなく、鋭い観察にもとづきながら現実を超えた、詩情溢れる鳥のイメージを創造しているのです。そしてその点において上村画伯の日本画は、マイセン窯の花や鳥の磁器に、たがいに共鳴しながらつながっているといえるでしょう。

京都花鳥館は、理事長夫妻の花や鳥をこよなく愛する優しい精神と美を見きわめる鋭利な感性によってうみ出されたものにほかなりません。しかし、同時にそれは京都という日本でもっとも豊かな歴史と自然をもつところであればこそ、はじめてつくられた美の殿堂だといえるでしょう。

今後この京都花鳥館が、京都とマイセンをつなぐ架け橋となり、多くのひとびとの眼と心を魅了するにちがいないと信じています。

2006年7月

京都大学名誉教授

兵庫陶芸美術館

館長 乾 由明

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ごあいさつ

京都の文化的風景を一層豊かにし、また一般の人々にも最高のコレクションに触れる喜びを与える素晴らしい京都花鳥館がここに完成しました。京都花鳥館は、長年にわたるマイセン磁器蒐集にかける理事長夫妻の情熱の賜物です。

御存知のように古くから西洋は、東アジア諸国から文化面のみならず多くのものを学んできました。磁器はそれを最も印象的に示す最古の例と言えるでしょう。ヨーロッパ人が遠路を経て持ち帰られた中国の磁器を初めて手にしたとき、磁器にはすでに500年を超える伝統がありました。しかし、磁器の材料・製法は秘密にされていたため、人々はきわめて高価で「白い黄金」と呼ばれた磁器を輸入するほかありませんでした。

18世紀始めにようやく、ザクセン選帝侯アウグスト強王の命を受けたE.W.フォン・チルンハウスとJ.F.ベットガーが長い試行錯誤の末に磁器の製法の謎を解き、ある意味で磁器を再発明したのでした。その後設立されたマイセン磁器製作所は、まもなく300年を迎えますが、この種の製作所としては全ヨーロッパで最古のものです。その後、J.F.ヘロルトやJ.J.ケンドラーといった芸術家達は、磁器芸術の傑作を制作しました。マイセン磁器製作所の双剣の窯印は、最高の品質を示す印として広く世界中で知られています。

このたび京都花鳥館を設立し、美しい磁器を公開されたのは誠に喜ばしいことです。展示品はテーマ別に整理されており、また、ほぼ全時代をカバーしているため、マイセンの伝統と発展の歴史をたどることができ、深い感銘を覚えます。中でも花や鳥をモチーフとする数々のコレクションは他に例を見ないものであります。「京都花鳥館」と名づけられたのはまさに適切な命名と言えるでしょう。  最高の展示品を有する京都花鳥館は、ここに文化あふれる街京都においても、とりわけ重要性の高い美術の館と言えます。京都花鳥館が関心の深い人々を数多く迎えて発展することを願っています。

2006年7月

大阪・神戸ドイツ連邦共和国領事館

総領事 ゲロルト・アメルンク

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